通年型になったプール熱

治療・予防とウイルスに強い体づくり

 今やエクササイズで水泳と言えば温水プールを使うのが常識のようですが、そのためか1年中プール熱が発生しているようです。
 その理由の一つが、インフルエンザの大流行や各種の感染症が次々に発生するように、日本人の免疫力が低下していると考えられること。プール熱を引き起こすのは、アデノウイルス。ウイルスに対する抵抗力や免疫を作る力が弱いと感染、発症しやすいからです。
 プール熱の予防と対策法を、中医師の何暁霞さんにお聞きしました。
プール熱とは?アデノウイルスとは?プール熱の症状は?プール熱の治療法; ; は?
プール熱の予防法は?根本的な予防法は?衛気を強化する処方や生薬は?
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プール熱とは?

 医学用語では[咽頭結膜熱]といいます。アデノウイルスという微生物が、接触感染によって人の体に寄生し、ノドの痛み、結膜炎、高熱を発します。プールを介して感染し流行することが多いので[プール熱]と呼ばれます。感染から発症までの潜伏期間は、約5〜6日といわれます。
 2004年7月7日のNHKニュースによると、々日時点で859例の報告があり、これは昨年同期に比べて2倍の数字であるという国立感染症研究所の報告が発表されました。

アデノウイルスとは?

 アデノイドの組織から見つかったウイルスで、40種類以上が発見されています。一つのウイルスのサイズは、直径十万分の7ミリメートル(70nm)。プール熱を引き起こすのは2型、3型が多く、まれに7型があります。7型呼吸器疾患を引き起こし、他の型より症状が重くなることが報告されています。細菌性であれば抗菌薬による症状の改善が期待できますが、ウイルス性結膜炎に対する特効薬は現状ではありません。ウイルスは粘膜から侵入しますから、感染を避けて粘膜を清潔に保つことと、粘膜と免疫力を強化することが大切です。

プール熱の症状は?

[高熱]
 38〜40度の高熱が4〜7日間続きます。熱はなかなか下がらず、元気もなくなります。
[ノドの痛み]
 ノドが赤く腫れ、4〜5日間痛みます。咳が出て、扁桃腺炎を伴うことも多くなります。
[結膜炎]
 目が赤く充血し、痛み、目やにが出、目を開けているのがつらくなります。

 このほかに頭痛、寒気、食欲不振、吐き気、下痢、鼻水などの一般的なカゼの症状が出ることもあります。

プール熱の治療法は?

 ウイルスをやっつけなおかつ人体に害のない薬剤はありませんから、対症療法を施します。高熱が3日以上続いたり、ぐったりしている時にはすぐに診察を受けましょう。

[高熱に対して]
 早い手当てが大事です。ごく初期でしたら、清熱解毒作用のある金銀花や連翹などからなる漢方処方(銀翹解毒片=天津感冒片という製剤化された製品があります)で熱を抑えることも可能です。涼しい部屋で寝かせ氷枕などで体の熱を下げます。解熱剤は使い過ぎに注意しましょう。高熱でしかも寒いと感じる場合二は、SARSの予防効果で話題になった「板藍根」を併用します。高熱が出ると脱水気味になりますから、水分を取らせるようにします。しかし、体力が消耗すると水分を吸収することもできなくなり、点滴を受けなければならないこともあります。
 
[ノドの痛みに対して]
 5〜7日で次第に痛みも和らいできますが、痛む間は、味の濃い物、熱い物、ざらざらするものはノドを通りにくいので、プリンやゼリー、牛乳、野菜ジュース、豆腐、おかゆやスープ(冷まして)などがいいでしょう。「板藍根」は殺菌作用で知られ、このお茶を飲んだりうがいをするのも痛みを和らげる効果があります。板藍根には「板藍茶」や「板藍のど飴」などの健康食品が市販されています。

[結膜炎に対して]
 ホウ酸水で目を洗い、目に対して清熱解毒と目をすっきりさせる作用のある菊花茶を併用します。、指で目を触らないこと、目やにが出て目を触りたくなったときも、ハンカチではなく使い捨てるティッシュを使いましょう。家族への感染を防ぐためタオルなどを共用しないことは基本です。医師は抗生剤の目薬を処方することが多いようです。市販の目薬には結膜炎に向いていないものもありますから注意しましょう。古い目薬の使用や、一つの目薬を家族で共用するのもやめてください。

[吐き気、腹痛、下痢に対して]
 赤痢、急性腸炎にも用いられてきた清熱解毒作用がある五行草も併用します。五行草茶といった製品が出ています。

プール熱の予防法は?

[プールから上がったら]
 よく目や手を洗う。よくうがいをする。シャワーでプールの水をよく流す。
[家では]
 タオル、洗面器、食器などを家族と共用しない。大人の家族も手洗いをこまめにする。感染するのは、プールに限らない。手や指をひんぱんに石けんや流水で洗う。
[友達との接触は]
 症状が消えてからも2日間は学校をお休み。友達との交流もひかえましょう。

根本的な予防法は?

[感染源に接触しない]
 ほかの感染症も同様ですが、ウイルス感染を防ぐには、人や動物との接触を避けることが第1です。
[感染しにくい体質を作る]
 人体には、ウイルスなどの異物を攻撃したり食べてしまう細胞(免疫細胞)を生み出す機能が備わっています。しかし、現代の日本人は、ライフスタイルや食生活の変化、外部環境、ストレスの増大などのためにこの免疫力を生み出す力が衰えているようです。さまざまな感染症やアトピー性疾患、花粉症の増大がそのことを裏付けています。
 また、ウイルスや花粉などの異物を撃退する第一次防衛ラインは、粘膜や皮膚です。感染症は、そのほとんどが粘膜から感染します。粘膜を強化することも非常に大切です。
 免疫力や粘膜を強化することは、プール熱だけでなく冬に多発するインフルエンザはもとより、今後も発生が心配されるSARSをはじめとする感染症にも強くなることを意味します。
 中医学では、こうした免疫力や防衛力を「衛気(えき=外からの攻撃に対して体を巡って守る力)」といいます。西洋医学にはない発想ですが、「衛気」の働きは西洋医学の手法によっても解明が進んでいます。

衛気を強化する処方や生薬は?

 中医学では、人それぞれの体質によって生薬の種類と量を決めますが、衛気を高めるもっともスタンダードで核になる処方は、黄耆、白朮、防風からなる「玉屏風散」(簡単に飲めるエキス製剤化された「衛益顆粒」という商品が販売されています)という処方です。ストレスを避け、適度な食事と睡眠も衛気を高めるために必要です。
 プール熱に対してだけでなく、冬のインフルエンザやSARSなど各種感染症に備える免疫パワーづくりを、常に心がけておかれるとよいと思います。
記・『健康情報館』編集部

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