藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第31回】

滋養強壮ドリンク
速効性があるのはカフェイン作用

 夏バテの疲労回復に速効性があるということで、ドリンク剤がよく売れています。その数は100種類とも、200種類ともいわれています。
 かつてのドリンク剤といえば男の専売特許で、女性にはちょっと手の出しづらいイメージもありました。それが今では、女性層にもファッションとして気軽に受け入れられる時代です。
 1000円、2000円のドリンク剤を、ハンドバッグからさりげなく取り出してグイッ! 女性が強くなるはずです。
 駅の売店や自動販売機で売られる清涼飲料水はともかく、最近は漢方生薬を配合したミニドリンクが薬局、薬店、コンビニ、スーパーの店頭に並ぶようになりました。人参、牛黄、イカリソウ、トシシ、五味子、麦門冬、鹿茸、甘草、芍薬、当帰、川きゅう、地黄、茯苓…思いつくままにあげただけでも、これだけの種類があリます。
 その中身を漢方的にいえば「補益薬」ということになります。一定の疾病に対する治療薬として用いられる場合もありますが、多くの場合、体力が低下した人や老化の進行を食い止める滋養強壮に効果を発揮するクスリといえます。
 パッケージの表示では、いずれも「滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労の改善」といった表現で統一されていますが、一つのドリンク剤をまとめて買い込み、毎日愛用するとなれば、やはり使用されている生薬の効能、効果ぐらいは頭に入れておきたいものです。
 どの生薬に的を絞るかは人それぞれ。パッケージには生薬の含有量が明記されています。
 最近は、医者にもらったクスリの中身に関心を持つ人が多くなり、その種の本もよく売れています。健康づくりのためのドリンク剤といえども同じです。
 たとえば、高血圧傾向の人がニンジンエキスを売り物にしたドリンク剤を連用した場合、高血圧特有の頭痛や赤ら顔傾向がひどくなることもあります。イージーな選択は考えものでしょう。
 ドリンク剤によっては、飲んで数分もしないうちに体がスキッとしてきたような気持ちにさせられるものもあります。漢方生薬の中には速効性を売り物にしたものもないわけでありませんが、さすがに速すぎます。これはカフェインの効果です。カフェインは、習慣性があり、連用することで効き目は少しずつ低下していきます。疲労“感”が取れたかのような気分にさせられますが、それは一時的なもので、疲労の“素”が除去されたわけではありませんので念のため。
 
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)