藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第10回】

血液の“質”の低下を招く
運動不足、飽食、ストレス


 中国漢方による健康づくりを実践するにあたって、ぜひとも理解したいキーワードの一つに、「お血」があります。
 血液は、体じゅうの一つ一つの細胞に酸素や栄養分を運ぶことで、人間の生命活動を支えています。毎日を健康に過ごすためには、血の流れがイキイキとしていることが必須条件です。
 ところが、本来スムーズに流れるべき血液が、なんらかの原因によって流れなくなったり、流れにくくなったりした状態(うっ血血栓など)を、中国漢方ではお血と呼び、病気の引き金になるものとして重視しています。
 お血の原因は運動不足、飽食、食事の偏り、ストレス、冷え、熱などさまざまです。栄養の偏りや疲労の蓄積によって引き起こされる肝腎(じん)のパワーダウンは血液の質の低下をもたらし、やがてお血となります。お血の症状としては、皮膚の黒ずみ、うっ血、しこり、腫(は)れ、特定部位の痛み、凝りなどがあげられます。
 中国漢方で、このお血を重視するのは、血行の停滞がさまざまな疾患と結びついているからです。特に循環器障害に属する高血圧、ボケや身体障害をもたらす脳卒中、働き盛りを突然襲う狭心症や心筋梗塞(こうそく)などにはいつもお血がみられます。
 人間のこころや体をのびやかに保つためには、きれいな血液が不可欠。その大事な血液が汚れたり、滞ると、生命を脅かすことにもなりかねないことに、古人は気づいていました。
 ストレス、運動不足、飽食など、現代はまさに「お血の時代」。きれいな血液こそ健康の第一歩であるというお血の考え方は、現代人にこそ知ってほしい疾病概念といえます。

あなたのお血度チェック

1.舌の色が暗赤色か、紫色のシミがある
2.舌の裏の静脈が浮き出ている
3.胸にしめつけるような痛みがある
4.唇が紫っぽい
5.腹や足の静脈が浮き出している
6.顔色がどす黒い
7.目のまわりにクマがある
8.手足の先、爪の甲が黒ずんでいる
9.打撲によるうっ血ができやすい
10.皮膚が硬化しザラついている(サメ肌)
11.痔(じ)
12.肩や首すじが凝る
13.手足が冷える
14.タール状の黒便
15.シミ、ソバカスが多い

 

 もしも、該当する項目がひとつでもあれば「お血傾向」、3つあれば「お血」、3つ以上あれば「お血が進んだ状態」です。大事になる前にお血の改善に努めるべきです。
 中国漢方には、「活血化お(かっけつけお)」という、お血を取り除く素晴らしい治療法があります。成人病予防の切り札「活血化お」については、次回以降で詳しく紹介しましょう。
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)