藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第1回】

現代病・不定愁訴に
多くの薬材利用、大きな効果

 このごろ毎日、イライラつづき。仕事もスムーズに進まない。お得意さんは、わがままばかりだし…。
 ボヤキいっぱいの中年サラリーマン、エグゼクティブのなかには、けん怠感、胃弱、肩こり、動悸、息切れ、不眠、精力減退といった、からだの不調を訴える人が少なくありません。
 ストレスの原因には事欠きそうもない現代社会です。年齢的な体力の衰えもさることながら、精神的な疲労から元気をなくすケースがけっこう多いのです。
 医師(西洋医)に相談しても、通りいっぺんの薬剤投与でかたづけられて、症状が改善しない。そんな不満の声もよく耳にします。いわゆる“不定愁訴”というレッテルで処理されてしまうからだの異常です。いずれも生命を直接左右するものではありませんが、当人にとっては深刻な病には違いありません。ハイテク医療全盛の西洋医学が、こんな身近な病を解決に導けないとは、何という皮肉でしょう。
 そこで、このところ“もう一つの医療”として注目を浴びているのが中国の伝統医学、すなわち「中国漢方」です。
 ハテと首をかしげるかたがいるかもしれません。従来の「漢方」と「中国漢方」では、どこがどう違うのか。
 東洋医学は、数千年前の古代中国にルーツをもった医学・薬学です。しかし、わが国に初めて伝えられたのは千数百年前のことで、それ以来、中国からの影響を受けながらも独自の発展をみせてきたのが、これすなわち「漢方」なのです。腹診という診断法を充実させるなど、独特の展開をみせて現在に至っています。
 一方、本家中国でも伝統的な医学・薬学は今日まで研究と実践を積み重ねて新しいクスリを次々と生み出してきました。それが今日、気功・はり灸・薬膳などとともに、わが国でもスポットを浴びている「中国漢方」なのです。
「中国漢方」の処方は、数多くの生薬から成り立っているのが特徴です。なかには植物生薬だけではなく、動物生薬、鉱物生薬も含まれます。数多くの薬材を利用できるということは、それだけ多様な症状にきめ細かく対応できるというメリットがあります。
 次回から症状に合わせた「中国漢方」の威力を見ていきましょう。
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)