アトピー性皮膚炎と女性の健康マーク

第133回 ご高齢者の肌のかゆみ、どうして治らないの?

高齢の方で皮膚のかゆみを訴える方は少なくありません。
一般には老人性皮膚そうようしょうといいます。
私は老人ではないわ!と憤慨される方もいらっしゃることでしょう。気持ちは若くても肌は残念ながら年とともに水分、皮脂は減っていって、皮膚のバリヤー(保護能力)が減り、刺激でかゆみとなるのです。

場所と症状

場所は、手足、腰、臀部、肩甲骨の部位、背中、腹部が主にかゆくなります。
皮膚の特徴は白い粉が浮いて落ちます。ほかにしわ、亀裂、かききずがあり、皮膚はつやがなく、乾燥しています。赤くなったり、湿疹がでます。この湿疹のことを「皮脂欠乏性湿疹」といいます。
そのほか色素沈着して茶色になったり、かゆいところが脱毛、かいて皮膚が厚くごわごわしたりしています。
皮膚以外では不眠や、心身の不安感も見られます。

原因
原因は肌の老化、皮膚の乾燥、保護機能障害です。
70歳の人の細胞内の水分は30歳に比べて30%少ないので、どうしても肌は乾燥しがちになります。
若者に比べて高齢者の肌のうるおいは少なく、皮脂膜はほとんどないので表面の角質層(あかになって剥がれ落ちる所)はきわめて乾燥しやすく、ぼろぼろと剥がれ落ち、ふけのような白い粉が多く落ちます。
このように皮脂の分泌低下で乾燥肌になり、皮膚の保護機能の低下で肌着やアレルギー性のもので刺激を受けやすく、さらに悪い生活習慣で悪化します。

生活習慣との関係

悪い生活習慣とは食べ物、特に、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、嗜好品の取りすぎ(たばこ、酒、コーヒー)などや辛いものの食べすぎと遅い就寝、運動不足、ストレスなどで自律神経のアンバランスを引き起こし、肌の乾燥を招くのです。
就寝時間が遅くても肌に水分がいかなくなり、乾燥してかゆくなります。
太陽が出ている昼は「陽」で、エネルギーが活発に動いて体は熱くなっています。夜は暗く「陰」で休息の時間です。生きていく上の大事な栄養や水分が蓄えられる時間です。ところが眠れなかったり、寝るのが遅い日が続くと肌は乾燥し、敏感になりかゆくなります。
肉やヨーグルト、乳製品を毎日召し上がっていても、長い間には痒みの原因ともなります。日本人には合わないのです。
運動不足も大きな原因です。細胞の新陳代謝が悪いと水分の巡り、血のめぐりが悪くなり、肌は乾燥します。
外からの原因
1:季節
季節の関係は大きいです。
主に秋から冬にかけてかゆくなる方が多いのですが、原因は春、夏に汗をかいて(たらたら流れなくても気がつかないうちに汗をかいている自然発汗もあります)体の中は乾燥し、寒さで血管が収縮して、肌に潤いが行かなくなったのが原因です。

2:化学的刺激、局所の刺激
次に洗剤などの刺激、下着が当たってこすれる刺激もあります。
痒みが出るところは主に骨が出っ張っていて、脂肪が少ないところに起きやすいのです。
さらに自分で悪くしている、すなわちかゆくて掻いたり、掻くのがくせになっている場合もあります。特に外から帰ってほっとして着替えているときにかゆくなって気がつくと掻いている、といったことがあります。

内からの原因
1:憂鬱、ストレス
2;不適切な食事
3:過労
4:胃腸や先天的な体質
5:掻きすぎ
以上により人の持っている「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の巡りが悪くなり、皮膚によい栄養が回らなくなり、乾燥してかゆくなってきます。「気」とは生命エネルギです。エネルギーが「血」を動かし、体の水分代謝を良くするのです。過労で皮膚が悪化するのはこのエネルギーが低下するからです。胃腸が弱くても同じです。

内臓の病気が原因の場合
皮膚に症状がなくて痒いのは内臓の病気が原因と考えられます。早めに専門医にかかりましょう。
慢性の腎臓障害、腎臓透析、肝臓病、がん、精神神経症、薬剤の常用、糖尿病、鉄貧血、シェーグレン症候群、ドライアイなどでかゆみが起きることがあります。
腎臓透析では代謝産物がたまり、毒になる。尿素、アンモニア、がたまってかゆくなります。
糖尿病、肝臓病など代謝が悪くて起きる病気はまず体にたまった毒をだすことが大事です。脂肪を減らし、便通をよくしましょう。

治し方
●保湿と漢方の軟膏
まず入浴後1分以内に漢方の軟膏と保湿クリームを塗りましょう。こすらないで置くようにやさしく薬指で塗ってください。なぜ薬指で塗るのかお分かりですか?そうです、力が入らないからです。古人は素晴らしい名前をつけたものです。
赤いところ、かき傷のあるところは、中黄膏、太乙膏、紫雲膏などを使い分けてください。症状がないところは瑞花露クリームを全身に塗ってください。中黄膏は赤いところ、太乙膏は乾燥して掻き傷があるところ、紫雲膏は乾燥してガサガサしたところがあっています。中黄膏と紫雲膏を混ぜてつかってもよいです。

瑞花露クリームは痒み、赤み、乾燥によい生薬エキスが配合されたクリームです。一日何回も塗ってください。体はタオルでこすらないよう、泡だてて、その泡でそっと手で洗ってください。瑞花露ソープは使った後突っ張らなくて評判の痒みの生薬が入っています。シャンプーはノンEシャンプーが肌に優しく評判です。

●食事
薬膳 トマトうどん
薬膳 トマトうどん
作り方;2人前:
乾燥うどん150gを硬めにゆで、さっと水で洗い、水を切っておく。豚肉を千切りし酒、塩を振っておく。
トマト中4個を皮ごと大きく八つ切りにする。
鍋を熱してから、オリーブ油で卵を2個塩少々加えてさっと炒めて取り出しておく。
オリーブ油、八角またはネギを熱し、豚肉、千切りのピーマンを炒める。
これにトマトを種と汁ごと加え、濃い目に塩こしょうする。
これにうどんを加えてからめ、卵を混ぜる。 
 
トマトは水分が多く、肌を潤します。和風のめん料理より野菜がたくさんとれ、塩分も少ない簡単料理です。

辛いもの、キムチなどや脂っぽいもの、ケーキ、揚げ物、肉類、酒、は悪化させます。乳製品より納豆やみそなどの乳酸菌のほうが日本人には合います。豆腐、小松菜などにもカルシウムはたくさん含まれています。玄米も小豆と一緒に圧力がまで食べますとお赤飯のようにおいしく、便秘の解消になります。
高齢者になると胃腸の働きが衰え、消化能力が落ちるので栄養が十分とれず、皮膚にも栄養が行き渡らず、乾燥しやすくなります。
乾燥しているので潤す食べ物が良い。ご飯と野菜、海草が赤みをとるのによい食事です。毎日たっぷり取りましょう。パンよりご飯が優れています。

例;梨、りんご、白きくらげ、トマト、豚の赤み、スープ類、鍋料理、煮物、すっぽん、ジャガイモ、サトイモなどのイモ類、白菜、キャベツ、豆腐

● こころ
前向きの気持ち、きっとよくなる、と思うとリンパ球が増えて細胞を元気にさせ、治す方向に行きます。治らない、治らない、と思うと活性酸素が増えて細胞を傷つけ治りにくくなります。
日常も明るく笑いのある生活が治す力を引き出します。おかしくなくても唇の端を上げて笑顔を作っていると、脳は笑っていると勘違いして治す力が出ます。いつもアルカイックスマイル(モナリザの笑顔)をつくっていましょう。

● 運動
体が温まると新陳代謝が良くなり、肌を潤します。ウオーキングや太極拳、ヨガなど一回に20分以上続けると血の巡りはよくなります。汗をかいて痒くなるときは無理をしなくてもよいですが、よくなったら再発予防にまた始ましょう。

● 睡眠
早く寝ましょう。陰陽の考えでは昼は「陽」で活発に動く時間。夜は「陰」でゆっくり休む時間であり、水分が肌にたまる時間でもあります。眠れなくても布団にはいりましょう。
熟睡した日の朝は肌がしっとりしている経験はだれでもあるでしょう。

症状、体質別治し方と中国漢方
● かさかさタイプ;
かゆい、肌はあまり赤くはない。夜になると悪化する。白い粉が出る。ごわごわ。冬に悪化する。
◎治し方:血を増やして肌を潤す
 □中医薬:
   ・赤みがないとき:当帰飲子(とうきいんし)など。
   ・赤みがあるとき:涼(りょう)血清営(けつせいえい)顆粒など
 □其の他:
   五行草茶 沙(さー)棘(じ)*、シベリア人参*など

*沙棘
中国の砂漠に生える赤い実をつけ、とげの多い木。実から抽出したオイルは活性酸素を取り、ビタミンC、E、カロチンが追従を許さないほど多く、皮膚を潤し、色素沈着などによい。フルーツの香りが快い。
*シベリア人参
シベリアで取れる人参。寒さに強く、ストレスなどの環境適応能力にすぐれている。痒みは神経でかゆくなることもあるので精神安定作用があるシベリア人参をお茶代わりに飲むとゆっくり眠ることが出来る。

●真っ赤で乾燥したタイプ
かゆみがひどく、皮膚が熱い。赤みがひどい。細かい亀裂が見える。のぼせ、口が渇く、便秘がち、便が硬い、舌の色が赤い
◎治し方。血の熱を冷まし、痒みを止める
 □中国漢方ほか
   涼(りょう)血清営(けつせいえい)顆粒 、五行草茶、シベリア人参ほか
      
●冬出るタイプ
 肌が出ている部分に良く出る。冬出やすい。皮膚が乾燥している。冷やすと悪化する。舌の色は淡いピンク
◎治し方:元気をつけ、体の寒さからの防衛力をつける
 □中国漢方ほか:    衛益顆粒、シベリア人参ほか

● じくじくタイプ
肛門、外陰部に良く出る。じくじくしたり、ただれやすい。皮膚が厚くごわごわしている。女性はオリモノが多く、においが強い。口が乾く、舌の色は真っ赤で苔は豆腐かすのように厚く、べっとりとしてうす黄色。□治し方:体の汚い水分である湿気をとってかゆみをとる。
 □中国漢方ほか:    瀉火利湿顆粒、五行草茶ほか

体質改善
高齢者の肌の痒みは年齢による水分不足、新陳代謝の低下によって肌が潤わず、乾燥してきたことが主な原因です。

中医学では体の働きを五臓に分けて考えます。すなわち肝・心・脾・肺・腎です。 この中で肌の痒みに関係するのは主に、脾・肺・腎です。

「脾」とは消化器のことです。高齢になると消化能力が衰え、召し上がったものが十分消化吸収できず、肌の栄養になりません。下痢しやすい方の肌はかさかさして艶がないことでもお分かりでしょう。

「肺」とは呼吸器全般のことで皮膚は皮膚呼吸していますので「肺」の一部と考えます。
「腎」とは腎臓、副腎、ホルモン、骨、脳、免疫を含めたものです。
アトピー性皮膚炎などに用いるステロイドホルモンは元来副腎から作られているものです。
高齢になるとこの「腎」に含まれるものがすべて衰えてきます。免疫力も弱り、なかなか病気が治らなくなります。

肌の痒みを治すためには脾・肺・腎を強めることが大事です。
そのために胃腸、肺、腎を強化する漢方薬を飲むことは体質改善の基本となります。
「腎」を補うものとして瀉(しゃか)火補(ほ)腎(じん)丸(がん)、八仙(はっせん)丸(がん)、杞(こ)菊地(ぎくじ)黄丸(おうがん)などがあり、痒みが取れても体質改善に長くのむと骨を丈夫にして腰痛にも効果があり、元気で長生きできます。

中国医学での外用療法
薬浴:すべりひゆ(馬歯けん(ばしけん))と当帰を20gから30gを煎じ、お風呂に入れて入浴します。
スベリヒユはあかみ、痒みによく、肌をすべすべ、さらさらさせる働きをもっています。当帰は肌を潤します。
スベリヒユの粉末は五行草茶といい、一袋を水100ccに溶かし、痒いところをパッテイングします。

痒みがひどいときは苦参(おけら)、黄柏(きはだ)、地膚子(じふし)、すべりひゆ、山椒を煎じた液をシップする。
お酢150mlをぬるま湯200mlに入れ、頭を洗う。1日1回。頭皮の痒みによい。


つぼ按摩療法
曲池(きょくち):ひじをまげた時に出来るおおきな皺の端。
合谷(ごうこく):手の甲、親指と人差し指のまたの間。
血海(けっかい):ひざの皿の内側上から2寸上。
足三里(あしさんり):むこうずねのすぐ外側、膝の下3寸。 骨と硬い筋の間にある。
指やボールペンで10回から20回押す(1日1、2回)

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